腎機能障害
急性腎炎・慢性腎炎・腎不全など、腎機能のさまざまな疾患に対して、
漢方薬を用いることができます。
一つには副作用のない優れた利尿薬があって、むくみ・排尿障害などに対応できること。
一つには、血流障害を改善する働きがある生薬が使えること。
そして、慢性化し体力・免疫力が落ちてくるケースが多いため、全体を「補う」処方が
有効なことが挙げられます。
また、西洋医学的に、生薬の一部に腎機能改善の薬理効果があるとの研究も進みつつあります。
だるさ、むくみ、めまい、冷えなどを解消してQOL(生活の質)を上げること、
進行を遅らせることに、漢方薬は力を発揮します。また、人工透析中のさまざまな
不快症状を緩和することも可能です。
●下肢のむくみをともなうタイプ
特徴
特に下肢がむくみ、尿量減少または夜間多尿、尿蛋白、高血圧などがみられる。
冷えを伴い、さまざまな老人性の症状が強まることも。
方針
利尿効果のある生薬を用い、「水(すい)」を適切に排出します。
泌尿器と老化を司る臓の「腎」を補います。
適した漢方薬
八味地黄丸(はちみじおうがん)
牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
●貧血、冷え性をともなうタイプ
特徴
体質虚弱な若い女性や、妊娠中毒症の腎炎によくみられます。
むくみ、尿蛋白、高血圧など。
方針
「水(すい)」を排出しつつ、「血(けつ)」を補います。
血液循環を改善します。
適した漢方薬
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
柴苓湯(さいれいとう)+桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
●疲労感や消化器症状のあるタイプ
特徴
疲れやすく、顔色が悪く、吐き気、食欲不振、胃もたれなどの症状がある。
風邪を引きやすかったり、貧血のことも。
方針
気血を補い、免疫力を高めます。
全身の抵抗力の源である消化器からアプローチします。
適した漢方薬
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
人参湯(にんじんとう)